現行アナログテレビ放送、このまま終了してよいか?  更新:2011-03-09
地上アナログ放送「終了延期」プロジェクト/サイトのタイトル
地上アナログ放送「終了延期」プロジェクトのサイト  開設:2011-01-24

私たちの主張(要求書)──
私たちは、総務省と全テレビ放送局に対して
「地上アナログ放送の終了延期=地デジ難民のゼロ化」を求めます。

 click→  3月4日の全配布資料(pdf A4版18頁 625KB)

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 このページでは「地上アナログ放送終了(アナログ停波)の延期を求める私たちの主張」を紹介します。

≪このページの目次≫

 私たちの主張についてご意見などおありの方は、ぜひブログや掲示板にコメントしてください。

※このページの内容は、断りのあるものを除き、掲示板やブログなどで自由に転載・引用していただけます。ただし、適宜追加や修正をしますので、転載・引用の際はこのページへのリンクを設定していただければ幸いです。リンクや引用についての詳細は「このサイトについて」ページをご一読ください。

総務省と全テレビ放送局への要求書──
私たちは、総務省と全テレビ放送局に対して
「地上アナログ放送の終了延期=地デジ難民のゼロ化」を求めます。

私たちは、総務省と全テレビ放送局に対して
「地上アナログ放送の終了延期=地デジ難民のゼロ化」を求めます。

 2011年7月24日に、地上アナログテレビ放送の終了・地上デジタルテレビ放送(以下「地デジ」)への完全移行が予定されています。しかし、まだ視聴者(家庭や事業所)の地デジ受信準備が整っていません。

 地デジ対応テレビの累計出荷台数は、2011年7月時点で八千数百万台前後にとどまる見込みです。かつてあったアナログ対応テレビ1億2000万〜1億3000万台のうち、7割前後しか地デジ対応テレビに置き換わらないことが、もはや確実な情勢です。

 地デジ対応受信機(注:テレビ以外を含む)の世帯普及率は、総務省の「浸透度調査」によれば2010年9月時点で約90%ですが、80歳以上だけの約250万世帯を調査対象からはずす、地デジ未対応のため調査に非協力的な世帯が多く漏れてしまうなど、普及率調査になじまない調査手法によるもので、実態を反映していません。現実の地デジ世帯普及率は、2011年7月時点で90%前後にとどまることが、もはや確実な情勢です。

 総務省が最大270万世帯と見込む経済的弱者への地デジ化支援も、遅れに遅れています。2010年9月末までの申請数97万のうち完了は55万にすぎず、対応中が42万もありました。総務省が156万世帯と見込む住民税非課税世帯への追加支援も始まったばかりです。このままでは2011年7月24日以降、生活保護世帯、身体障害者世帯、高齢者世帯、低所得世帯などを中心に、テレビを失う世帯が多数生じてしまいます。

 地域によって地デジ開始時期が異なること(関東・中京・近畿広域圏は03年12月、広域圏以外の道県庁所在地とその周辺は06年12月、その他地域は07年以降)、地デジ開始から数年間はテレビが高価格で小型テレビも存在しなかったことから、地方の中・低所得者が地デジに対応するための準備期間は、事実上4年7か月〜3年未満しかないのです。「10年前から決まっていたから」と地デジ未対応の人びとを切り捨てることは、あまりにも理不尽で不公平な暴挙であり、国の政策として決して許されません。

 テレビは、人びとの生活に必要な情報を広く伝える重要なライフラインです。地デジが全家庭に行きわたらないまま地上アナログ放送を終了すれば、情報格差が拡大するどころでは済まず、人びとの生命や安全までもが脅かされてしまいます。集中豪雨や台風や大雪や地震や津波や噴火がこの国を襲うとき、100万単位の家庭でテレビを見ることができない事態を、私たちは断じて認めるわけにはいきません。

 また、テレビ台数がかつての7割前後まで減ることになれば、NHK受信料収入の大幅減や民放広告収入の大幅減が避けられず、全テレビ放送局が大きな打撃を受けると思われます。

 そこで私たちは、「地上アナログ放送の終了・地上デジタル放送への完全移行」を下記のように延期し、いわゆる「地デジ難民」をできるかぎりゼロに近づけたうえでアナログ放送を終了するよう、総務省と全テレビ放送局に強く求めます。総務省と放送局は、現行計画の真摯な見直しに早急に着手しなければなりません。

1.地上アナログ放送の終了を全国一律とせず、全国32のテレビ放送エリアごとに、実情に応じて段階的に終了することを認める。

2.「2011年7月24日まで」とされている地上アナログ放送の終了期日を、地上デジタル放送免許の更新時期に合わせて「2013年10月31日まで」とする。準備が整ったエリアは、この日付より前に終了してよい。

3.地上アナログ放送終了の具体計画は、全国32のテレビ放送エリアごとに、国が関係者と協議のうえ策定し、実施する。国は、各エリアの終了期日まで地デジ化支援策を講じ、地デジ難民のゼロ化に万全を期す。

※以上3点の詳細は別紙を、その他論点の詳細は別添資料をご参照ください。

        2011年3月4日

岩崎貞明(『放送レポート』編集長) 小林潤一郎(編集者) 坂本 衛(ジャーナリスト) 清水英夫(青山学院大学名誉教授、弁護士) 砂川浩慶(立教大学社会学部准教授) なだ いなだ(作家、医師) 原 寿雄(元共同通信社編集主幹)

※五十音順。岩崎、小林、坂本、砂川の4名は≪地上アナログ放送「終了延期」プロジェクトチーム≫のメンバーです。

要求書の別紙──
「地上アナログ放送の終了延期」プランの詳細

【プランの基本】現在の地上アナログ放送(「本放送」)を、2011年7月25日以降は「実用化試験放送」として継続する。アナログ放送局1万5000局に必要な免許(1万5000枚の紙)は、追って交付する。以下の「プランの骨子」(免許期限など)は、その免許方針で反映させる。

●実用化試験放送に移行するメリットは以下。(1)電波法改正が必要ない。(2)「本放送」ではないから、放送事故などに柔軟な対応ができる。(3)「試験放送」ではないから、広告を流すことができる。(4)「本放送は既定方針通りに終了した」と言える。

●船舶無線では免許切れの延長を事実上認めるケースが少なくない。「追って交付」も問題ない。

【プランの骨子】(1)地上アナログ放送の終了を全国一律とせず、全国32のテレビ放送エリアごとに、実情に応じて段階的に終了することを認める。

●地域によって(1)地デジ開始時期がまったく違う。(2)広さや、山か広い平原か島かなど地理的条件がまったく違う。(3)人口、所得、過疎地域か過密地域かなど経済力がまったく違う。(4)放送エリアが異なり放送免許が別々で、放送普及計画の目指す放送局数も違う。(5)総務省の普及率調査の結果も大きく違う。だから、地域の実情に応じて、地上アナログ放送は段階的に終了すべきである。

●海外のデジタル化では、段階的なアナログ終了が常識。アメリカも事実上、段階的終了である。

【プランの骨子】(2)「2011年7月24日まで」とされている地上アナログ放送の終了期日を、地上デジタル放送免許の更新時期に合わせて「2013年10月31日まで」とする。準備が整ったエリアは、この日付より前に終了してよい。

●「2年3か月の終了延期」=終了期日を2013年10月31日までとする根拠とメリットは以下。

(1)2011年7月の地デジ対応テレビ台数(例:8500万台)に3000万台前後を無理なく上乗せできる(1億1500万台にできる)。(2)7月24日の普及率90%前後に、5%=250万世帯ずつ2年で上乗せするのは、現実的で妥当な目標である。(3)03年12月地デジ開始の三大広域圏では10年目だから、6割の人口集中地域で準備期間がテレビの更新サイクル10年と合う。(4)13年1〜2月のスカイツリー運用以後のアナログ終了は、南関東の地デジ化に圧倒的に有利である(ムダなコストを大幅に抑制できる)。(5)総務省の地デジ化支援見込み世帯370万(当初270万−対応済み60万+追加160万)への対応は1年では困難だが、2年ならば現実的で妥当な目標となる。(6)設備投資計画などを免許更新時期に合わせる放送局にとって都合がよい。

●「準備が整った」かどうかは、「未対応世帯が1%以下であると見なす十分な理由がある」かどうかで判定する。「最後の一人まで」はスローガンとしてはよいが、「国策」の目標としては非現実的で不適切。

●その判定に必要なことは、(1)地上アナログ放送(実用化試験放送)砂嵐番組や停波実験を頻繁に繰り返す。(2)デジサポによる支援・未対応世帯の抽出を継続。(3)遅れの著しい地域(○○村、△△町1〜3丁目など)限定で調査。(4)終了直前の1か月間はブルーバック画面を流し最終警告、など。

【プランの骨子】(3)地上アナログ放送終了の具体計画は、全国32のテレビ放送エリアごとに、国が関係者と協議のうえ策定し、実施する。国は、各エリアの終了期日まで地デジ化支援策を講じ、地デジ難民のゼロ化に万全を期す。

●関係者とは都道府県、市区町村、放送局、CATV局、電器店(電設工事会社、家電量販店など)ほか。

●簡易チューナー配布は、接続するテレビが壊れたとき(毎年数十万台以上壊れる)の対応が必要で、二度手間となる。厳格な条件を定めた地デジ対応テレビの配布、クーポン券による補助制度などのテレビ普及策を検討すべきである。

以 上

※この文書は≪地上アナログ放送「終了延期」プロジェクトチーム≫が2011年3月4日の記者会見で公表するものです。

要求書の別添資料──
「地上アナログ放送の終了延期=
地デジ難民のゼロ化」を求める記者会見
別添資料

 おことわり  この項目には表や下線部分が含まれるため、html化に時間がかかります。しばらくは、pdf文書を参照してください。

発起人からのメッセージ(欠席2名分)

発起人からのメッセージ

●本日の記者会見に所用にて欠席の発起人のうち、二人からメッセージが寄せられました ので紹介します。出席の発起人のコメントと同様に扱ってくださって結構です。

     2011年3月4日

地上アナログ放送「終了延期」プロジェクトチーム

清水英夫(青山学院大学名誉教授、弁護士)

 日本国憲法第21条は、言論・出版の自由を保障していますが、そのなかには情報を受け取る自由も含まれています。また、憲法は第25条で「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障しています。

 現代社会において、テレビは極めて重要な情報源であるとともに、健康で文化的な安全生活のために不可欠なメディアであることは、言うまでもありません。

 その意味で、受信者の地デジ準備が十分整わないうちに地上アナログ放送を終了することは、極めて重大な人権問題になりかねません。今からでも、アナログ終了政策の真摯な見直しを求めます。

なだ いなだ(作家、医師)

 ぼくはアナログのテレビを2台持っていて、それがまだまだ使えるのです。まだ十分に使えるものを、なんで一方的に捨てさせ、買い替えさせるのですか。受信契約の一方的破棄を強行するのは理解できません。ものは大事にするなというのですか。

 また、アナログで撮ったビデオも多数あります。その中には、放送局にも残っていないようなものもあります。

 新しいテレビに替えさせられ、それが見られなくなる(見られる方法もあるかもしれないが、年寄りには分からない)のも、困ったものです。

 聞くところによると、ぼくの世帯は、80歳以上で地デジ普及調査の対象からも除外されているそうです。日本では100歳以上の行方不明者のニュースが世界を駆け巡ったばかりですが、今回、国の調査では、80歳以上は統計上存在しないことにされてしまっている。ちゃんと生きているのに、存在しないことになっている。そうされる気分を皆さんも想像してみてください。

 ぼくは子どもたちに、地球の資源は有限だ。大切に使いなさい、と教え続けたい。

賛同人からのメッセージ

賛同人からのメッセージ

●要求書≪私たちは、総務省と全テレビ放送局に対して「地上アナログ放送の終了延期=地デジ難民のゼロ化」を求めます。≫を示し、賛同してくださる方に200字以内のメッセージをお願いしました。

●お名前は「実名または周知の筆名」でと依頼しました。肩書きはご本人によります。

●2011年2月18日〜3月2日に受け付けた賛同人は46名(注:追加分を含めると48名+1団体)です。以下、到着順に掲載します。

●賛同人からのメッセージは、地上アナログ放送「終了延期」プロジェクトのサイトでも紹介します。

●地上アナログ放送「終了延期」プロジェクトのサイトや掲示板で、今後も賛同人を募っていく予定です。

     2011年3月4日

地上アナログ放送「終了延期」プロジェクトチーム

碓井広義(上智大学文学部新聞学科教授)

いまや高齢者を中心に多くの「地デジ難民」が発生するのは明らかだ。 地デジ化は“国策”だが、アナログ停波が「全国一斉」である必要はない。元々、地上波は「県域」免許であり、各地域の実情に合わせての五月雨式移行は可能なはず。もちろん地方局にとっての負担は軽くない。しかし、今後ますます“地域の放送”という役割が増すことを思えば、むしろアナログ停波のタイミングの判断は各局に任せるべきだと考える。

湯山哲守(元京都大学専任講師)

地デジ化を否定はしませんが、アナログ放送停波は延期すべきです。7月までに放送法に言う『あまねく放送を享受できる』状況に達する見通しは立っていないからです。放送法違反状況は避けるべきです。

佐々木七津女(元教員)

低所得者家庭に、デジタル放送用のアンテナ及びチューナーを、低額で配布する政策を、きちんと完了しなければならない。また、アナログ放送終了のお知らせはたびたび見ますが、アナログとデジタルの違いの原理を説明する放送もして頂きたい。たとえば、アナログ時計とデジタル時計、アナログ録音とデジタル録音、アナログ録画とデジタル録画等の違いを、老人にも判るように科学的に説明する放送もして欲しい。

松原 明(ビデオプレス代表)

国が一方的にテレビのシステムを変え、しかも強制するのは許せない。
理由も腑に落ちない。どうしてもやりたいのなら、すべて「無償」で行うべきだ。

藤森 研(大学教員)

テレビは現代において、人々にとって生活する上での必需品です。その方式転換には、見切り発車や切り捨ては許されません。無理のない移行を望みます。

醍醐 聰(東京大学名誉教授)

でたらめな普及率調査をもとに地デジ化を見切り発車すれば、数百万の世帯がライフラインとしてのテレビを失うと同時に、放送局もそれだけ契約者・受信料収入や広告料収入を失うことになる。「いつでもどこでも」をキャッチフレーズにしてきたNHKとその経営委員会は、こうした事態を直視して、「地デジ難民」を生まないよう、政府に延期を求める責任がある。

飯沼良祐(The Oriental Economist編集委員、元東洋経済新報社常務取締役)

遅らせることでどのくらいコストがかかるのかは知りませんが、百万の単位の人々がテレビが見られなくなってしまう、それも単身の高齢者など弱い立場の人が情報途絶になってしまうのは大きな社会的問題と思います。

須藤春夫(法政大学教授)

今年7月の地デジ完全移行は、受信状況の普及実態から無理である。地上テレビ放送の持つ公共的意義からも、アナログ停波を延期して万全の受信態勢を作り出すのが政府のはたす役割だ。強行すれば「デジタル棄民」が生まれる。今、世界各地で強権的な政府の姿勢に異議申立の運動が起こり、変革の嵐が巻き起こっている。政府はたかがテレビの話だと侮ればツケが回ってこよう。民主主義の規範が問われているのだ。

鬼木 甫(大阪大学名誉教授)

地上アナログ放送終了の主目的は放送電波の携帯電話等への転用ですが、今回政府は電波転用の「移転費用」を携帯事業者等に負担させる電波法改正案を提出しました。「テレビ視聴者のデジタル移転」にもこれを適用し、米国等と同様に「停波時における全希望世帯へのチューナー(複数台)配付」を実施すべきです。詳しくは鬼木http://www.ab.auone-net.jp/~ieir/dtv.htmlを参照。

伊藤洋子(大学教員)

孤独な暮らしに、せめてもの生甲斐をテレビに求めているのは、知人を訪問するにも買い物に行くにも、足も金も不自由する人々です。テレビにすがらざるをえない人々にとって、テレビは不可欠の福祉財です。地デジ切り替えに最後まで取り残されるのは、そうした「経済的弱者」に偏ることは明白です。地デジ難民を生じるというのは、そうした人々を切り捨て「生きるな!」と判断するに等しい舵取りをすることであり、断じて反対です。

橋良典(がんサポート編集部)

賛同いたします。小生の家のテレビもまだアナログですが映ります。画面に2011年7月24日までと、うるさい限りです。私達の世代は物を大切にしなさいと教育されました。携帯も未だムーバ(3月31日で終了)を使っている人間です。

川ア泰資(マスコミ市民フォーラム理事長、元NHK記者、元大学教授)

偽りの国策を押し通したデジタル化狂想曲の挙句の果てに、弱者切り捨ての新自由主義の正体暴露。デジタル化の当初から国民・視聴者不在で、既存メディア・メーカーだけに気を使う詐欺・騙しを強行した責任を問う。NHKは[あまねく]国民に電波を届ける義務を負い、それを理由に受信料制度を正当化してきたのに、受信不可能者が出れば、公共放送の資格を失う。

丸山重威(関東学院大学法学部教授)

現代社会において、国民には、「放送を見る権利」があります。放送は、私たちの生活に欠くことができない重要なメディアです。憲法25条の「健康で文化的な生活」とは、「くだらない」と思われる情報を含めて、それを受けることができる権利を含んでいます。政府と放送に関わるすべての人間は、まじめにこのことを考えるべきです。

藤田真文(法政大学社会学部教授)

テレビは放送開始から半世紀以上の年月を経て、もはや国民生活に不可欠なものとなっています。テレビ受像機買い替えの結果責任をもっぱら視聴者に負わせるやり方は、社会的公平性の観点から容認できるものではありません。地デジへの完全移行が真に国民の利益に資することを目的にしているのならば、その政策によって不利益を被るものが出ないようにすることが政治行政の責任ではないでしょうか

桂 敬一(立正大学社会学科講師)

アナログ放送に頼っている視聴者が数多く存在しているあいだに、これを切り捨てるようなことをすべきではありません。また、弱小地方局のデジタル化投資も、まだ不十分です。拙速に走れば、番組制作費を削るなど、放送の質を落とすことにもなりかねません。放送の公共性を守り、高めるためにも、アナログ放送の並行期間を延長し、すべての視聴者・放送事業者のためになるようなデジタル移行計画に、変更してください。

小田桐 誠(ジャーナリスト、大学講師)

住んでいる地域や世帯の経済・社会的状況によってデジタル放送を視聴できない人が存在する中で、アナログ完全停波は強行すべきではありません。アナログからデジタルへの転換の狙い、デジタル放送の良さは理解していますが、進め方は納得できません。NHK民放とわず放送事業者は、その「公共性」─ユニバーサリティやマイノリティへの配慮、信頼・安定への配慮など─を実現するという原点に立ち返って欲しいと、強く要望します。

臼井律郎(国境なき医師団日本・元会長)

「地上アナログ放送の終了延期=地デジ難民のゼロ化」要求に賛同します。今年7月にはこの日本に数百万の地デジ難民が生じかねず、その中には高齢者や小さな子供といった、インターネット・アクセスを持たない情報弱者が多く含まれると知り、これは大変な事態だと驚いています。近年の異常気象や自然災害の多発を思うとき、彼ら情報弱者から貴重な情報源を奪い、彼らの生命を脅かすことには断固反対です。

小玉美意子(武蔵大学教授)

現在社会における最大の課題は、「誰も人を切り捨てない」ということです。社会保障の網、フェアー・トレードで最貧国の人々と共存共栄を図る、男女平等に働き暮らして楽しい人生を分け合う・・・。今、アナログを終了することで、デジタル受信機を用意できない方を切り捨てないでください、最もテレビ・メディアに依存して暮らしている方たちかもしれないのですから。日本の放送業界にはまだ、そのくらいの余裕はあるでしょう。

今井 潤(放送を語る会代表)

テレビを大切な数少ない楽しみにしているお年寄りや地デジ対応テレビの購入が困難な方々を置いてきぼりにしてアナログ停波を急ぐことには反対です。首都圏では地デジを送出するスカイツリーの本格運用は2012年末とも聞いています。予定されたアナログ停波から1年半近くタイムラグがあり、総務省の調査でも新たな地デジ難視聴世帯を11万近く生みだすおそれがあると言われる拙速な停波は避けるべきです。

藤久ミネ(放送評論家)

パソコンになじまず、インターネットの情報に日常的には接触していない人(私もその一人です)にとって、テレビはきわめて重要な情報ツールです。テレビが家の外の情報を取るほとんど唯一の手段という人は、日本全国に何百万人もいるでしょう。そんな人たちに十分な猶予期間を与えずに、アナログテレビ放送を止めることには反対です。テレビという「社会に通じる大きな窓」を、どうか閉じないでいただきたいと思います。

赤尾晃一(静岡大学情報学部准教授)

戸建て住宅はともかくとして,共聴施設での対応の遅れが致命的だ。辺地・ビル陰難視・集合住宅・事業所など共聴施設での対応は個人ではどうにもならない。当事者が集まって協議が必要だが,利害関係など状況は個々の施設ごとに異なり,画一的な対応は不可能だ。改修工事に時日も要する。地デジ推進側も状況は把握しながらも,問題解決を先送りしてきた感が強い。デジタル完全移行時期の延期が現実的な解だろう。

貫名初子(NHK問題を考える会(兵庫)代表)

この夏のアナログ放送停止は多くの地デジ難民が生まれ、法の下の差別を生みます。総務省と全放送局は、憲法の「国民主権と法の下の平等」を守る立場にたち、ひとりの国民も切り捨てることのないよう現行計画の見直しをつよく望みます。

久守一敏(NPO法人京滋マンション管理対策協議会幹事)

地デジが県庁所在地で整備されて6年、一応見られるようになって数年でもカバー率が届かない。京都市では比叡山の新たな中継局開設後、東山区の新たな難視地域が当初予定の50世帯から200世帯になり、この対策は2月にやっと地域町内との話し合いが始まったばかりです。すでに高性能のアンテナ設置で多額の負担を住民にかけています。少なくとも2007年から本格普及が始まったと考えて、2014年から2017年まで延期をすべきです。

小林道雄(ノンフィクションライター)

日本という国のありようは、何よりもテレビによく示されている。事は劣化の一途をたどる報道や“愚楽”番組だけの問題だけではない。無意味に期限を切ってデジタル化を強行し、高齢者や低所得者などの弱者を情報難民化させることを恬として恥じない官僚的冷酷さこそが、それを最もよく物語っている。無縁社会を拡げようとしているのは誰なのか。老齢者の怒りを思うべし。

岩本太郎(フリーランスライター)

我輩は「テレビ難民(の予備軍)」である。名前はまだない。というか、テレビの視聴者ごときに名前など必要ないというのが総務省やテレビ局の御偉方の感覚かもしれない。かつて「猫が観てても視聴率」と言われたが、我輩は猫以下になるわけだ。だが我輩は別に難民申請する必要がない。こっちが難民化すると同時に、そっちが“棄局”されるのだ。そこらへんからよく考えたまえ。では。

日隅一雄(弁護士)

地方の高齢者、低所得層を切り捨てる拙速な地デジ切り替えには賛成できません。

柴山哲也(現代メディア-フォーラム代表、立命館大学客員教授)

地デジ化は世界の先進国が実施していますが、各国の政策は異なります。ケーブルテレビ網が発達した米国、国から援助が出るフランスなどは、国民にさほどの不自由を与えていません。日本の場合、京都の古い錦市場では、家屋の構造上テレビが見れなくなると住民から異論が出ています。また、受像機買い替えで国民に大きな負担を強いています。このままの強引な地デジ化は、民意から離れて失敗すると思います。延期を強く求めます。

山田健太(専修大学准教授)

日本は世界でも稀な豊かなテレビ環境にある、と思う。それは、地上波テレビが全国どこでも容易かつ平等にアクセス可能な「マス」メディアであることに由来する。ソーシャルメディアの台頭等によってテレビの社会的存在価値が議論されている時期に、サイマル経費負担増を理由として、テレビ界自らがそうした環境を放棄する第一歩を踏み出すことは理解に苦しむ。とりわけNHKにとって、あまねく放送は法による要請でもあるはずだ。

三原 治((社)日本放送作家協会理事)

テレビは娯楽や教養の提供は勿論ですが、災害時のライフラインでもあります。
アナログ放送しか受信できない人の命にも関わることです。
高齢者や低所得の人々からテレビを見る権利を奪い取る暴挙。
いわゆる弱者切捨ての措置には断固反対します。

兼高聖雄(日本大学藝術学部教授)

急速なデジタル化は、住宅街の小さな路地をいきなり自動車専用道にするようなもの。テレビでは電波がどう使われているか、現在のテレビと国民の関係はどうなっているのかという基本的観点が必要。テレビが60年間積み重ねてきたコミュニケーションのありようを踏まえない政策では困る。特に放送は70代以上にとって貴重な存在。彼らに手厚く移行をすすめるべき。

日比俊久(編集者)

賛同します。わが家にはアナログのブラウン管テレビ2台と、アナログチューナーのハードディスクレコーダー、ビデオテープレコーダーが各1台ずつあり、もちろん現役として大活躍中。それが7月には粗大ゴミになるという。ヘンな話だ。

松田 浩(メディア研究者)

アナログ打ち切りによって百万単位の「デジタル難民」が予想される事態を憂慮します。テレビが社会のライフラインになっている今日、「打ち切り」は「知る権利」の否定に等しい暴挙です。国民的合意ぬきに、打ち切り時期を法律で最初から決める強引な手法でデジタル化に踏み切った視聴者不在の政策がこの事態を招いたわけで、政府と安易に同調した放送事業者の責任が、この際、追及されるべきだと思います。

隅井孝雄(京都ノートルダム女子大学教授、NPO京都コミュニティー放送副理事長)

賛同します。地デジを期限通りに強行するという政府、NHK、民放連のかたくなな態度は許せません。私の周辺では様々な理由でアナログのままの人が数多くいます。仮に地デジに切り替えてもビデオ、ネット接続など問題は残ります。きめ細かい対応がないと結局テレビが見えない、使えないということになるでしょう。また衛星送信という便法は地元局が見られないという重大な欠陥を残したままの見切り発車になり、許せません。

有田芳生(参議院議員、ジャーナリスト)

地上アナログ放送が予定通りに終了するならば「情報格差」でなく「情報不平等」を生むことになります。ならばこの問題は人権問題でもあります。現代社会においてテレビを失う世帯が多数生まれることは、地震などの災害可能性からの退避に取り残されることにもなります。役所の「机上の論理」を根拠に移行を強行するのではなく「人間の視点」から捉え直す必要があると思います。柔軟かつ現実的な「終了延期」が必要でしょう。

藤田文知(元BPO統括調査役)

地デジのテレビ受信についての不備もさることながら、従来のテレビ録画デッキ、テレビ音声が聴けるラジオ、カーステレオのテレビ受像などアナログからデジタルに移行した場合の混乱は目に見えています。準備の時間を延長すべきと考えます。

河村真紀子(団体職員)

地上波のテレビは、老若男女すべての国民に最も愛されてきた身近なメディアです。そのテレビがデジタル化という大きな転換期を迎えるにあたって、そのプロセスと結果が、あらゆる境遇の国民に対して温かいものであることを心から望みます。人々に安らぎと生きる勇気を与えることこそ、テレビの役割だと信じています。これからもテレビが愛され続けるか否か、それは停波という一大事業を成し遂げるときの「姿勢」にかかっています。

小出五郎(科学ジャーナリスト)

地デジ化サポートのため「コーディネーター」的に積極的に世話をやく人材が、いま決定的に足りない。このままで行けば、実際に大勢の地デジ難民が生じ、そこではじめて深刻な情報格差の実態が明らかになるだろう。予防策を準備するより何事も事後に対処する方が得意のわが国ではあるが、情報混乱のなかではそれも危うい。段階的実施によるソフトランディングを目指すべきである。

上滝徹也(日本大学藝術学部教授)

放送法は、「放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること」をその目的に掲げています。この“あまねく広く”を放送の基本的要件としている以上、山間地世帯や高齢独居世帯などへの支援対策は、丁寧に、きめ細かく行われるべきでしょう。視聴者してみれば、地デジ化自体がぴんとこない計画なのですから、移行にあたってはくどいくらいの配慮が目に見える形で求められます。

塩川鉄也(衆議院議員)

低所得者、高齢者世帯、ビル陰難視、離島、中山間地域など、このままアナログ放送の停波をしてしまえばテレビ難民が生まれるのはあきらかです。
支援策の抜本的拡充とともに、7月の停波に固執せず、アナログ放送の停波の延期を考えるべきです。

舘澤貢次(ジャーナリスト)

7月24日「地上波デジタル」テレビに切り替わる。これにより従来の「地上アナログ」では視聴不能。これは国家の地アナ所有者への弾圧そのものだ。他でもない61年前 (1950年)の7月24日、新聞・放送・通信社のレッドパージ(共産党員とその同調者を公職から企業から追放すること)で弾圧。今度は地デジの強力な推進者の官僚と大手関連企業の社長が牛耳る推進団体「電波産業協議会」が、地デジ弾圧に出たのだ。これは何百万の地デジ難民を生む「現代版レッドパージ」だ。

揖斐 憲(株式会社サイゾー 代表取締役)

電波利権を独占して、高年収を得てきたセレブ局員には、したくても地デジ対応できない庶民の気持ちがわからないのでしょうか。今、公共財たる電波の担い手がやるべきことは、画面の端にうるさく「アナログ終了」の文字を出すことではないはず。全国民と繋がったライフライン・メディアとしての地位を自ら捨てるなら、ネット拡大の前に不可避であるテレビの凋落は一段と早まるのではないでしょうか。

清水 勉(弁護士)

「地上アナログ放送の終了延期=地デジ難民のゼロ化」に賛同します。
一斉デジタル化は大量のゴミを出すことになるのですよね。
それって、地球にやさしいのでしょうか?
・・・マスコミも政権も勝手です。

石橋さや夏(売れない番組批評家)

友人との雑談で、テレビのネタが年々減っています。それだけテレビに関心がなくなっているのだなあ。この調子でアナログ停波の日を迎えたら、「見るのやめちゃおうか」という非地デジ化家庭が大発生するような気がしてなりません。私は「時代の合わせ鏡としてのテレビ」を信じてきたんだけど、限られた人だけが見るようなものになれば、テレビはテレビでなくなってしまう。いまのスケジュールだと、テレビ離れは確実に進みますよ。

谷岡理香(大学教員)

テレビは、私たちの生活にとって重要なメディアです。経済的弱者たちを切り捨てることにつながるのではと懸念します。エリアごとに順次切り替えることを希望し、アナログ延期要求に賛同します。

岡村黎明(メディアアナリスト、元大東文化大学教授)

地デジ難民ゼロの基本に賛成します。

元木昌彦(編集者、元「週刊現代」編集長)

「地上アナログ放送の終了延期=地デジ難民のゼロ化」に賛同します。

筒井洋一(京都精華大学教員)

京都での地デジ化の進歩が非常に遅いです。高齢者住宅はもちろん、一般商店でも同じです。地デジ化する理由に納得がいかないままで、期限がまもなく来るという現状では、延期しかないと思います。

中沢けい(作家)

テレビは誰もが利用するものです。誰もが利用するものの方式を変えるのは、どのような足取りの人でもついてゆけるような、ゆっくりとした速度で変えてゆくことが望ましいと思います。地上アナログ放送の終了を急ぐべきではありません。

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日本ジャーナリスト会議(JCJ)

「地上アナログ放送の終了延期=地デジ難民ゼロ化」を求める要求文書について、日本ジャーナリスト会議(JCJ)として賛同します。これは、2月26〜27日に開かれたJCJ拡大運営委員会で了承されたものです。

以 上

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